看護学生 看護経験談

バイタルサインとは ~基本をおさえて患者の異常に気付こう~

バイタルサインは患者をみていく上で欠かせない兆候です

まず正常を分かっていないとなにもならないですよね

バイタルサインについて学んでいきましょう

バイタルサインとは

バイタルサインとは人間の生命活動における指標で、生命徴候の事をさします。

今身体に起きている問題や、今後の変化を予測するために必要となる情報です。

体温・脈拍・血圧・呼吸の4つを基本とし、意識レベル・尿量を含めた6つをバイタルサインと表すところもあります。

基準値

正常値を覚えて異常の早期発見に努めましょう

成人の基準値

体温:36~37℃

脈拍:60~90回/分

血圧:収縮期120mmHg未満/拡張期80mmHg未満

呼吸:12~20回/分

意識レベル:意識清明(JCS=0 GCS=15)

尿量:約200~400㎖/回 約1000~2000㎖/日

新生児の基準値

体温:36.5~37.5℃

脈拍:120~160回/分

血圧:収縮期55~85mmHg/拡張期30~60mmHg

呼吸:30~70回/分

乳児の基準値

体温:36.5~37.5℃

脈拍:80~150回/分

血圧:収縮期70~100mmHg/拡張期50~65mmHg

呼吸:25~55回/分

幼児の基準値

体温:36.3~37.5℃

脈拍:65~120回/分

血圧:収縮期90~110mmHg/拡張期55~75mmHg

呼吸:20~30回/分

学童期の基準値

体温:36.3~37.3℃

脈拍:60~100回/分

血圧:収縮期100~120mmHg/拡張期60~75mmHg

呼吸:15~25回/分

注意点

まずは基準値から逸脱しているか確認する。

しかし、それだけでは本当に異常なのかどうかは分からない。

前日の測定値や、前回と比べてどうなのかをみて変化があるのか観察することが大事。

安静時のバイタルサインと労作後のバイタルサインでは変化があるため、患者がどのような状況なのかも確認が必要

体温

体温とは身体の温度のこと。

体温測定には表面体温、口腔温・腋窩温、深部温があります。

注意点・ポイント

  • 腋が汗で濡れていると正確な数値を計測することができないので、体温測定の前に汗を拭き取りましょう
  • 痩せている人は腋窩に空間ができやすいので、きちんと挟めているか確認しましょう
  • 測定前に食事や運動後だと測定値が変動するため状況を確認しましょう

何が分かる

高体温:感染症、、腫瘍熱、うつ熱 など

低体温:寒い所に長時間いた、栄養低下 など

脈拍

脈拍とは心臓の拍動する回数の事

一般的には橈骨動脈で測定を行います。 

注意点・ポイント

  • 拍動が不規則な場合は1分間測定しましょう
  • 左右差がないかも確認しましょう
  • 直接患者さんの肌に触れるため、測定者の手が冷たくないようにしましょう
  • 片麻痺の場合は麻痺側で測定しないようにしましょう

何が分かる

頻脈、徐脈、不整脈

血圧

血圧とは1回拍出量×末梢血管抵抗で、血管内部の圧力の事

血管が収縮するときの値を収縮期血圧

心臓が拡張するときの値を拡張期血圧

血圧が左右される5つの要因

心拍出量、血管壁の弾力性、循環血液量、血液の粘度、末梢血管抵抗

注意点・ポイント

  • 5分程度安静にしてから測定しましょう
  • 体勢によって変動するため、いつも同じ体勢でなるべく測定しましょう
  • 麻痺がある患者、乳癌のリンパ節廓清後、シャント肢など禁忌肢がないか確認しましょう

何が分かる

高血圧:心臓病、脳卒中 など

低血圧:本態性低血圧(頭痛、不眠など)、起立性低血圧(めまいなど)、症候性低血圧 

呼吸

酸素を取り入れ、二酸化炭素を吐き出すこと

注意点・ポイント

  • 患者に意識させずに測定しましょう
  • 回数だけでなく深さやリズムもみましょう
  • 副雑音の確認もしましょう

何が分かる

心不全、発熱、脳圧亢進状態 などさまざまな病態が関連する

呼吸異常の種類

  • 数の異常:頻呼吸、徐呼吸
  • 深さの異常:過呼吸、徐呼吸
  • 深さと回数の異常:多呼吸、少呼吸、クスマウル呼吸
  • 周期の異常:チェーンストークス呼吸、ビオー呼吸

意識レベル

患者の覚醒状態を評価

評価にはJCS(ジャパンコーマスケール)GCS(グラスゴーコーマスケール)を使用することが多いです。

JCS(ジャパンコーマスケール)

短時間に簡単に評価を行う事ができる

Ⅰ.刺激なしで覚醒している
0意識清明
Ⅰ-1今一つはっきりしない
Ⅰ‐2見当識障害があり
Ⅰ‐3名前、生年月日が言えない
Ⅱ.刺激すると覚醒する
Ⅱ‐10普通の呼びかけで覚醒する
Ⅱ‐20大きな声または身体を揺さぶることで覚醒
Ⅱ‐30痛み刺激や繰り返し呼びかけで覚醒
Ⅲ.刺激しても覚醒しない
Ⅲ‐100痛み刺激に対し払いのける動作をする
Ⅲ‐200痛み刺激に対し手足を少し動かしたり、顔をしかめる
Ⅲ‐300痛み刺激に反応なし
R(不穏)、I(糞尿失禁)、A(自発性喪失)がある場合は別に表示

GCS(グラスゴーコーマスケール)

世界的に通用する評価法

E.開眼機能
4点自発的または普通の呼びかけで開眼
3点強く呼びかけると開眼
2点痛み刺激で開眼
1点痛み刺激でも開眼しない
V.最良言語反応
5点見当識が保たれている
4点会話は成立するが見当識が混乱
3点発語はみられるが会話は成立しない
2点意味のない発声
1点発語みられず
挿管などで発声できない場合は「T」と表記
M.最良運動反応
6点命令に従って四肢を動かす
5点痛み刺激に対して手で払いのける
4点指への痛みに対して四肢を引っ込める
3点痛み刺激に対して緩徐な屈伸運動
2点痛み刺激に対して緩徐な伸展運動
1点運動みられず

尿量

循環動態を観察するために必要

ポイント

1日の最低必要尿量(ml)=体重×0.5ml×24

何が分かる

  • 浮腫や脱水の程度
  • 心不全・腎不全の診断や状態把握
  • 周手術期のバランスの確認          など

まとめ

バイタルサインは患者さんの状態を把握するのに大切な情報です。

きちんと計測することは大事な事であり、医師への報告にも大事な情報です。

しっかり基準値を把握し患者さんの状態をアセスメントできるようにしましょう。

  • この記事を書いた人

yamame

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